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ー同時刻・某浮島ー
深紅の曼珠沙華が咲き誇る小島。
その真ん中に神々しく佇む大きな石碑。
ルシフェルは羽を出し、石碑の前に跪いていた。
ル「枯れた麗華は戻らない
寂れた郷土は潤わず
苦悩無しには得られぬ平和
鮮血無しには揺らがぬ戦域
勝利を得ては増えゆく虚空
流れた涙は河となり
終えた命は土となる」
ルシフェルは静かに、尚かつ流暢に言霊を紡いでゆく。その頬には綺麗な雫が伝っている。
ザァっと風が靡き曼珠沙華の花が舞う。辺りを芳しい薫りが包み、ルシフェルの身体を慰めるかのように撫でていく。
ル「許せなんて言わない。俺を恨んでくれ、憎んでくれ…頼む、殺してくれっ」
初めはゆっくりと、最後は搾り出すように言葉を発する。
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