神々の祝福

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 合計コスト一万六千か、予定よりもちっとコストが掛かって己の手腕に未熟さを感じるものの出来は良いと思われるので、砂漠はこれにて完成としよう。推考を重ねるのも悪くないが、とんとん拍子で進んでいくのも悪くない。マンティカッターがインターバル終了までにどれくらい成長できるかが鍵だな。  今日中に仕上げようと思っていたのは砂漠だけなのであとは自由時間というわけだがいい案は浮かんでこない。やるべきを終わらせたのなら休めばいいのに脳みそめと思う今日この頃。何もしないという選択は無いので色々と捻り出すと、現段階の合計コストの計算という選択肢が出現した。 「おい、暇ならでばいすを使わせてくれないか」  さて選ぼうかとしたところでやや真剣な表情の騎士様からのお願い。どうせ暇に喘いで出した答えだし捻じ曲げるのに一切抵抗はいらなかった。当然返事は肯定である。 「ん、構わんよ。いよいよ前に言ってたやつを実行するのか、言いながら内容知らないくせにとか思ったけど」 「そうだ、邪魔するぞ。それと私はお前の冗談に付き合う気はさらさらない」 「あ、はい。すみません」  そう言って自然な動作で僕の膝上に乗る騎士様。綺麗なのに可愛いとはこれ如何に。それは置いといてやっと彼女の目的が判明する訳だ。慣れた手付きでマウスを動かす騎士様、おっと画面をまったく見ていなかった。  開かれていたのはアイテムリスト、彼女が見ているのは……えっと、ピンクジェル? 嬉しい予感がするんですけど。 「……やはりか。随分と便利なものだな」 「どったの?」 「これは来月発売の新商品だ。仲の良い女中が話していたから覚えていた」 「それが?」 「分からんか? 店に並ばずとも存在さえすればあらゆる物が手に入るということだ。お前のらんくが上がれば恐らく禁忌とされる魔導書や武器が手に入る。それが何かの拍子に侵入者の手に渡ればどうなるか」  成る程ね。そりゃ外の世界を混乱に陥れるには十二分だな。秘宝一つで危険なのにそれ以上の存在が容易に手に入る、誰が何の目的でダンジョンを訪れるか想像に難くない。何だ、案外ちゃんと騎士やってるんじゃないか騎士様。 「お前が何をどうしようと構わないが私にも矜持くらいある。その時は」 「殺せばいいさ、僕を。その時は君を解放する」
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