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『何処か行くの?』
置いていかれる子供の様に、不安そうな美咲に笑みを落とす。
『お前も行くぞ。』
その言葉で直ぐに、ニコニコと表情を変え、嬉しそうに付いて来る。
ああ。俺はこの顔に本当に弱い。
離れている間、何度も思い描いた、俺の好きな顔が真横にある。
愛しさが胸を駆けめぐる中、そっと手のひらを見せれば、いとも簡単にその手を取り笑顔を見せる。
指を絡めて車へと向かう。
『どこに行くの?』
美咲は楽しそうに覗き込んでくる。
どうやら、わかっていないらしい。
『直ぐに着くから。』
そう言って車を走らせた。
特に気にとめる事もなく、窓の景色を眺めている。
着いた先は美咲の家。
『何で?』
未だに理解していない美咲に溜め息をつく。
俺の服を来て、化粧もしていなくて、他に行く所なんてあるか?
隣で不思議そうな美咲に、口を開いた。
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