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『荷物持って行かないといけないだろ?』 『そっか。』 『まったく。』 やっと納得した美咲に、呆れた表情を見せる。 でも内心、また一緒に住むことを、すんなり受け入れてくれた事に安堵していた。 『今、持ってくるから待ってて。』 既に車から降りようとしている美咲を制する。 『いや俺も行く。』 『一人で大丈夫!』 何故か拒否する美咲の言葉を聞き流し、車から降りると諦めた様に前を歩き出した。 そう言えば、美咲の部屋に入るのは初めてだ。 若干、緊張した面持ちの美咲に促され中に入る。 玄関に足を踏み入れると、甘い香りがした。 そのまま1LDKの少し広めのリビングに向かう。 物は多いものの、使いやすい様によく整理されていた。 真っ白い壁にベージュのソファー。 全体的に白とベージュで統一されている空間は、美咲の優しい内面を映し出しているようだ。 『美咲らしい部屋だな。』 恥ずかしそうに俯く美咲に、続けて言葉を掛ける。 『今日から3連休だろ?』 隼人から聞いたなんて知らない美咲は、戸惑いながらも頷いた。 『じゃあ、連休中にある程度の荷物持って来いよ。』 美咲と気持ちが通じ合って、抱き締めながら考えていたこと。 俺が帰る場所が美咲であるように、美咲の帰る場所は俺でありたい。 もうどうにも離してやれないから。 ただ今までよりも確かな状況が欲しかった。 その為に部屋に押し掛けたのだ。 『どう言うこと?』 理解していない美咲が首を傾ける。 『ここを引っ越して、一緒に住もうって言ってるんだけど。』 照れ臭いのを隠すように、あえて素っ気なく返す。 そんな俺に満面の笑みを向けてきた。 『うん!悠輔も手伝ってね!』 つられて俺まで口元が緩んでしまう。 『わかってる。』 そう言って、微笑み合い鞄に荷物を入れ始めた。 ダンボールが無かったので、鞄や袋に詰めれるだけ詰めて、俺と美咲の車に乗せていく。 主に服や化粧品、台所用品だったが。 それぞれの車に乗り込み、自宅へ向かった。
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