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目が覚めると美咲の姿は既になく、慌ててベッドから飛び起きる。 寝室から出ると美味そうな匂いが漂ってきた。 『起きた?』 キッチンから顔を出した美咲に、安堵の溜め息を落とす。 良かった。 夢じゃ無かった。 そのままキッチンに向かい、美咲の腰に腕を回し、肩に頭を乗せる。 『甘えん坊。』 そう言って、クスクス笑う美咲に悪態をつく。 『悪いか?』 『別にー?ほら、ご飯出来たから食べよ?』 渋々、美咲から離れテーブルに着いた。 目の前には、テーブルに一杯の料理が並んでいた。 しかも俺の好きなものばかり。 『ちょっと作り過ぎちゃった。』 恥ずかしそうに言う美咲に、笑顔を向ける。 『ありがとな。食っていい?』 『どうぞ。』 一口食べれば、俺の好きな味が広がっていく。 『美味い!』 『良かったー!』 そう言いながら、会話をしながら食事を進めていく。 『明日、予定あるか?』 思い出して聞けば、首を振る美咲に続けて話す。 『明日、20時に隼人の店に美咲と一緒に来いって。』 『大丈夫だよ。昨日迷惑掛けちゃったから、謝りたかったし。』 ばつが悪い様に視線を下げた美咲に、言葉を掛ける。 『俺もだよ。明日、ちゃんと話してこよう。』 やっと視線を上げた美咲が頷く。 俺の仕事が終わったら一緒に向かおうと話をした。 気付くとテーブルの料理は綺麗になくなっていて、腹も十分過ぎるほど満たされている。 後片付けを終え、空いていた時間を埋めるかの様に、美咲と寄り添いながら穏やかな夜が更けていった。
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