幼稚園

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「やらなきゃならないのは山ほどあるが…まずは部屋だな」 そしていったん由佳莉の方に向き直る 「部屋はかなり余ってるから好きなとこ使え」 「え?」 先程までのキラキラ笑顔からうってかわって由佳莉の顔は泣く一歩手前の顔になっていた。 「一緒の部屋じゃダメなの?」 「一緒の部屋?なんでまた…」 「家では…ママと一緒だったから」 最近のガキは親と一緒の部屋で過ごすのか?と思ったがここで竜崎は前川に言われた事を思い出す。 『由佳莉ちゃんの頼みは極力聞いてあげるんだよ!』 そんなこと言ってたななんて思いだし由佳莉に告げる。 「お前が一緒がいいって言うなら好きにしろ…それと買い物いくぞ」 「買い物?」 「お前の服とかを買いにいくんだろうが…言っとくが家にはお前のサイズの服なんてないぞ」 「あ、そっか…わかった」 「多分前川がもうすぐ来るから」 だったら一緒に来れば良かったのにと由佳莉でも思ったがあえて言わない事にした。 「竜崎君、準備は…」 トン 家に入ってきた前川のすぐ横にナイフが突き刺さる。 それに驚いた前川は恐る恐る顔を横に向ける。 「なんだ前川か…てっきり侵入者かと思ったぞ」 「普通はここで謝罪なりなんなりをするんだけど…竜崎くんだもんね」 「だから言ったじゃん祐太、ちゃんと呼び鈴押そうって」 そしてその後ろから小さな女の子が入ってくる。 「なんだ、桜も来てたのか」 「久しぶりだね尚哉兄ちゃん!」 今桜と呼ばれたのが立花桜である。2年前から前川が引き取っている女の子である。 因みに桜は竜崎の仕事の事も知っている。 「尚哉兄ちゃんが引き取ったって子供を見に来たんだ」 「だとよ、ほれ、挨拶でもしな」 そして竜崎は由佳莉を前に差し出す。 「えっと、はじめまして。村田由佳莉です」 「うん、はじめまして、立花桜だよ」 「2人の自己紹介も終わったところで買い物に行こうか」 因みに竜崎の家から前川の家は徒歩でも10分の距離である。しかしここから買い物にいくとなると少し遠いのである。 「車で来たんだろうな?」 「勿論だよ!」
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