自衛隊後期

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射撃訓練が終わった数日後の休みの事でした。 起きてからふと違和感を感じた。 「…?」 何か違う。 いつもと変わらない朝にいつもと変わらない残念な顔。 何が悪いわけじゃないんだが、 「死にたい」 一瞬自分の頭がついに狂ったかと思ったのだが、そうじゃなかった。 しいていうなら朝ポストに新聞を取りに行くように、もよおしてトイレに行くようにそれが当たり前に死にたいと思った。 訓練がきついわけでもないし、寮生活がつらいわけでもない。 ただ「死にたい」だけなのだ。 初日はかなり酷かった。 パニクる中で思うならまだ理解できそうなのだが、冷静に自己分析しながら死にたいと思っていたのは我ながらちょっと怖かった。 生きてる実感が欲しいわけでもなく、自傷行為にはしるわけでもなく、誰かに構って欲しいわけでもない。 ただただ俺は死にたかった。 動くのが苦痛で考えるのが苦痛で息をすることすらわずらわしかった。 これが鬱病というものなのかと実感した。 それとも、最近頻繁に目撃される女の霊にとりつかれたのか。 何も考えたくない。 ぐるぐるぐるぐる頭の中で「死にたい」という声が木霊する。 三日と持たなかった。 気が付くと携帯で父親に電話して一言。 「死にたい。」 「は?」 まあ、当然の反応だろう。 自衛隊に行った息子の第一声がこれであれば普通に気が狂ったと思う。
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