「1」

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すると突然廊下の各所に設置されているスピーカーから神々しいパイプオルガンの音が鳴り響く。 音色こそは普段聴きなれないものの、メロディはお馴染みのモノなので直ぐ分かった。 これは授業開始を告げるチャイムである。 ここで俺は、一時間目のことをすっかり忘れてた事に気が付いた。 「おっと授業が始まってしまった。後で罰は送りはするが、 どうも私は機械が苦手でな、ミスがあるかもしれんがそこは多めにみてくれよな。 それじゃあ、授業には遅れるなよ」 やれやれ、まぁ負けは負けだから罰とやらは甘んじて受けるしかないか。 じゃあな、アンタも遅れるなよ 。 「私は大丈夫だ、教室はそこだからな、それでは、また会えるのを楽しみにしているよ。・・・あぁそれと、『廊下は走るな』よ」 彼女が指差したのは本当にすぐそこの教室で、彼女はチャイムが鳴る中教室に入っていった。 一方俺の教室はまだまだ先だ。 俺は競歩の練習をしようと誓った。
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