「1」

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教室に帰ってきた俺は椅子に豪快に腰掛けた。 俺の席は窓側の一番後ろで、俺は結構気に入っている。 しかし毎度(暁の饗宴)こと朝の全校集会の後は無駄に疲れる。 別に集会中に体育座りをしていると見せかけて、実は尻を浮かせるタイプのトレーニングをしていたからではない。 いちいちあのヘンテコな言葉を訳すのに疲れているのだ。 それにヘンテコなのは言動だけじゃない。 俺は左手に付けた腕時計の様なものに目を向ける。 よく見ると大体の生徒が手首に着けている。 これは俺が長年暮らしていたアメリカからこっちへ引っ越してきた初日に、学生証とセットで学校から郵送されてきたものだ。 一緒に入っていた紙には細かい文字で色々書いてあったが、これは詰まる所学校内での自分のステータスを知る為の機械らしい。 細かい使い方は面倒で読んでいないからよくわからないが。 まぁスマートウォッチの様なものを想像してくれれば構わない。 俺もその程度の認識だ。 そんなこんなで俺がココに転入してから一週間が経っているが、驚く程慣れん。 それに、俺がもう一つ異様に思ってる事がある、それは、 俺が転校生だというのに誰も話しかけてくれない事だ。 正直、俺の安直なイメージでは転校生というだけでちやほやされると思っていた しかも俺の場合は帰国子女というおまけ付きだ 普通は食いつくだろう、普通なら。 ちなみに俺に問題があるのでは?という可能性にはあえて目をつぶっている。 もしそうだとしても俺は俺を変えるつもりはないからだ。 いや、「変えられない」と言った方が正しいのかもしれない 昔の事を思い出しそうになった俺はそれを振り払った。 とにかく、今の所ココは俺にとって居心地のいい場所ではない。 だがしかし、俺には耐えねばならない。 なぜなら・・・
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