「1」

3/32
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「ねぇ」 声がした、凛とした物言い。 見ると女生徒が立っていた。 なんだ?折角俺が貴重な朝のHRを返上してまでプロローグを語っていたというのに。 そして君は誰だ? いやその顔と見事なまでの純正ポニーテールはクラスで見た事あるんだが、所謂アレだ、「顔と名前が一致しない」というヤツだ。 皆も経験あるだろう? しかし、誰しも経験した事があるこの現象に名前が無いのはおかしいな。 ・・・よし 「かおなまっち」というのはどうだ? ただ単に覚えられてないというだけなのに少し可愛い感じにならないか? 駄目か? など考えながら俺は目の前の彼女に「かおなまっち!!」と言いたい気持っちを抑え「どうした?」とだけ尋ねた。 言っておくが、俺のこの独白はほんの一瞬、コンマ1秒も経ってない スポーツ漫画でもよくあるだろう?だから会話には一切支障無い。 静かに、彼女が喋るぞ 「あなた《先駆者》に、一時間目始まる前に《梁山泊》に来るように言われてたでしょ?聞いてなかったの?」 はい。と答えるのも何となく癪だったので「今から行こうとしてたんだっち」と言い訳をしながら俺は教室を出て、 《先駆者》こと先生がいる、 《梁山泊》こと職員室へ向かった。 ついでに彼女の名前も聞かなければ。 俺は、《暁の集い》こと朝のHRと一時間目の間だというのに生徒がいない廊下を進んだ。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!