「1」

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職員室の引き戸をスライドさせた俺は先生の机の方を向いた。 先生の机は入り口から一番遠い列にある。 俺に気づいた先生は柔らかく微笑んで俺に向かってふりふりと手を振っていた。 相変わらず可愛いらしい。 職員室で出せる最速で、先生の処へ向かう。 「遅かったね、職員室まで迷っちゃった?」 いいえ、話を聴いていませんでした。 とは勿論言わずに「はい、ですが案内して貰いました」と今日一番良い声で言い放った。 「案内って吉野さんかな?彼女に貴方のサポート頼んであるから、ほら彼女、せ、《先駆者の使徒》、でしょ?」 嗚呼...貴女の口からならばその「学級委員」という言葉の成れの果てすらも美しく聴こえます... しかしなるほど、では教室で話しかけてきた彼女は学級委員長の吉野さんだろう。 覚えたぞ。 「ところで、もう学校には慣れた?」 先生、この俺を心配して下さるのか、有り難いです... はい...全く慣れる気がしません... というのが本音だがこれ以上心配させる訳にはなるまい。 俺は文字にすると「完全に慣れるまでにはもう少し時間がかかりそうですね^^;」 というテンションで返した。 「そっか、何かあったら相談してね、先生いつでも力になるから。って言っても、私も今年から赴任したばかりだから頼りないかもしれないけど...」 たははと自嘲気味に笑う先生。 貴女は先生の形を模した天使ですか? そのお気持ちだけでご飯三合はいけますよ。 ありがとうございます。
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