1章 遭遇

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何しろ、枝に付いているときは花見だのなんだのともてはやされ、散っている最中も風流だなあなどと言われる。 けれど、それが地面に着いた瞬間、それは人に桜だと判断されない。 地面に着いた桜の花びらはもうゴミと同等の扱いを受けることとなるのだ。 僕は正面に桜の木を見据えながら、ぼんやりとそう考えていた。 さすがに、この時期に桜側のベンチに座る勇気は僕にはない。 だんだんと空がオレンジ色に装飾されてきた。 この事からも、僕は年中西側のベンチに座る。
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