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「え……? どういうこと?」
「2年前、あたしが生徒手帳拾って届けたお礼に、って。三浦くんがくれたんだよ」
三浦くんは固まったように手のひらに乗せられたその小さな飴を見てた。
「あたしは、だから知ってた。三浦くんの名前、学校、学年……。それだけは」
「………」
「ずっと見てた。三浦くんのこと、2年……駅でずっと……。学校と学年と名前、それだけしか知らなかったけど、ずっと……」
「マジかよ……」
「あの日、急いでたのは、この飴をくれた人に告白して、2年間の片想いに終止符を打つつもりだったから。玄関のか、か…鏡の前で、何十分も服装チェックをしてたら、いつもより家を出るのが遅くなったんだよ」
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