1616人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
「カツカツカツカツカツ」
繁華街の路地裏を颯爽と歩く金曜22時半前。
週末、久しぶりに会いたいとカレに言われ夕食に豪華なディナーまではよかった…。
食事の途中…
いきなりふられた。
んでもって、はい、さようなら…。
っておい!!送りもせんのか!!内心(怒)
もうすぐ4月というのになんという寒さ…スプリングコートを着ていても寒さが体を通り越して心までも冷やしていく…。
アタシ、片桐つばき、31歳。
ふられてる場合ではない…年齢。
なんか繁華街の道、ど真ん中を歩く気分にもなれず、何本か入った路地裏を歩き、駅まで急ぎ向かう…
「…ッ!!!!!ッドサッ!!!!!」
一体何が起こった!?アタシ!!
数秒間があり、痛みと共に現実が襲う…
「いったーっ…」
1メートル程先にはさっきまで颯爽と歩いていたはずのパンプスが…
なんと…転んだ…らしい…格好悪い…どころか、無様…
ここは路地裏だし誰にも見られてないはず…
と思ったのも束の間…
「大丈夫…!?はいっどーぞ。」
鞄の中身も散らかしていたアタシにご丁寧に拾って渡してくれた男…
だっ誰だ!?アンタ!?
「あっ…ありがとうございます…」
こっぱずかしくなって一瞬で下を向く…繁華街の路地裏とは言っても、金曜のまだ22時半…誰もいないはずはない…
「立てるみたいだね。んじゃ気をつけて。」
まぁなんとあっさりとした一般的な返し。
「ーーーっ」
聞き取れないが、その男の名前を呼ぶ声…と同時にその男はそっちの方へ歩いて行った。
アタシはというと転んだ時より痛みが増して…両手の平を見ると擦った痕、それから両膝も痛い…けど今日はパンツで怪我の具合が見えない…
もぅいーや。
早く帰ろう…パンプスを拾ってから履き、また歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!