≪壱≫

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「お前が?竹刀持てるのかよ。」 失礼だなー!これでも近藤さんに筋がいいって言われたんだよー!?」 そんな会話をしながら。二人は部屋を出て道場へ向かった。 場所は変わって道場――。 その中は、門弟達の熱気と気迫で溢れていた。 木刀が空気を切る音や、ぶつかり合う音が響く。 試衛館道場の流派は、天然理心流。 実戦向けの流派なため、稽古でも重い木刀を使う。 が、まだ小さい琴音には重すぎるため、特別に今は竹刀を使っている。 「ほらよ。」 土方が竹刀を琴音に渡す。 「ありがとー。」 琴音がそれを受け取るお、道場の隅に移動する。 両手でしっかりと竹刀を持つと、上から下へ振り下ろす。 何度か同じことを繰り返すと、 「今帰ったぞ。」 と玄関の方から、聞きなれた声が発せられた。
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