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暗い
その一点だけがこの場を支配している。
波が時折場を揺らす。
寒くもない。
熱くもない。
ただ暗い
そんな闇にも似た空間を少年は彷徨っていた。
彼は目を閉じ、手足に力など微塵もなく生気を失ったかのごとく、身をなげうっている。
流れて、流れ、流れる
そんな一定のサイクルを繰り返しながら、波は彼をゆっくりとだが確実にある場所の方へと導いていた。
星の瞬きを一層引き立たせる雲一つない空と、その瞬きを星屑に変えるほどの赤々と輝く満月が天宙を彩った、そんな夜のことだった。
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