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「あらあらそうなの?
ならうちで買っていく?」
ネリアのネイテルを甘やかさないでほしいという思いはさらっと流されてしまった。
「ハァ~~~、
それじゃあ、お願いします。
五匹くらいいいですか?」
ネリアもいつもの事で、諦め気味であった。
今はそれよりもお店の用意の方が大切。
ひとまず魚を手に入れようと頭を切り替えた。
「はい、五匹ね。
それよりネリアちゃん。
今お金持ってるの?」
「…………あっ!!」
起きたらネイテルの摘み食いに気付き、そのまま追い掛けるようにして家を出た。
そんな状況でお金など持ってきているわけもなく。
「な、ない、です……」
「後で払ってくれればいいんだけど……
じゃあ、こういうのはどう?
今おばちゃん、ロール貝をきらしちゃってるのね。
代わりに三つ採ってきてくれないかしら?」
「えっ!?でもロール貝三つじゃ、五匹分には……」
驚くネリアの唇を人差し指でそっと押さえながら、
「いいのよ。
それより、早くしてくれないと、おばちゃん気が変わっちゃうかもな~~」
可愛らしくウインクを飛ばした。
「ありがとう!ラナおばさん!
ほら!ネッテちゃん行くよ!!」
「おっ、おお……」
それをうけたように嬉しそうな顔になると、まだ魚を食べていたネイテルの手、もとい身体を鷲掴みにし、ネリアは海岸へと走っていく。
それを温かくラナは見ていた。
「あれからもう三年か。
ネリアちゃん、元気にやってるわ。
……ネリエル。」
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