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「……てぇぇぇぇぇぇ!!
ひぃぃぃぃとぉぉぉ!!」
ネリアは飛び上がるように、というか飛び上がった。
後ろで束ねていた三つ編みも同じようにはね上がった。
「な、なんや!?ネリア!?」
ネイテルもその声に気付いたようで、翼をバタバタとはためかせながらネリアのもとへと飛んできた。
「ってぇぇ!人か!?」
「どどどどうしよう!?」
「とにかく助けなあかんやろ!!なんやボロボロやで?」
倒れている人は少年だった。
灰を基調にした上着を羽織り、下は長い紺のズボン。
だがネイテルが言ったとおり、何かに切り裂かれたようにボロボロであった。
俯せに伏した少年は右手を何かを掴もうとしたのか、突き出したように握り締めていた。
かわって左手はぶらぶらと、打ちだされている。
そして、腰には錆付いた剣をさしていた。
形は一般的なそれで、鞘は元々は銀色であったのだろう。
柄は赤く塗られていたが、泥が付きそこには赤黒いものも付着していた。
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