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「だから、そこまでしてもらって欲しくないって言ってるの!」
カタログを机に叩きつけ、真っ赤になって少年はガァーっとまくし立てる。
最近は、このパターンが多い。
色々無頓着過ぎる私は、世間一般とずれていて、見ていて不安になるそうだ。
少年はたびたびそんな私を見て、こうやって説教をはじめるのである。体は大事にしろ。もっと自分のことを考えろ、と。少年だって無茶するくせに。
「落ち着けよ、少年」
そう言って、キュッと少年を抱きしめる。
少年は真っ赤になって暴れるが、気にしない。筋力差は圧倒的。逃れる術は、少年にない。
「良い子だなぁ、君は」
心配してくれるのは、正直うれしい。
それは一人の時には存在しえなかったものだ。お礼をいってくれる以上に、むず痒い気持ちになる。
仕方ない。
少年が私にそういうなら、諦めるしかないじゃないか。
「じゃあ、断食はやめよう。けど、収入は増やせないから、切り詰める以外に方法ないぜ?」
ちなみに、収入が少ないという意味ではない。
そこそこ器用らしい私が暇潰しに作る木細工は人間たちにそこそこ受けがいいらしく、行商がいい値段で引き取ってくれる。
けど、収入増は望めない。
木を切る量は決められてるし、破れば銀色たちは再び私に牙をむくだろう。少年のためにも、それは避けたい事態だ。
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