いつか どこか 私

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腕を立てて、うつ伏せの身体を少し起こす。 それで全身が少し揺れて ――― じゃりん、と鉄の音がした。 固まる。 音に。 現実に。 クソ。 ホント、間抜け……。 動こうなんてしなきゃよかった。 あのまま、幸せな気持ちで忘れていればよかったのに。 鎖の音で、私は全てを思い出す。 そうだ。 ここ、牢屋だった。 森から連れ出されて幾月か。 これが日常になったってのに……。 未だにこの部屋は、どうしても私は慣れない。
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