21人が本棚に入れています
本棚に追加
腕を立てて、うつ伏せの身体を少し起こす。
それで全身が少し揺れて ――― じゃりん、と鉄の音がした。
固まる。
音に。
現実に。
クソ。
ホント、間抜け……。
動こうなんてしなきゃよかった。
あのまま、幸せな気持ちで忘れていればよかったのに。
鎖の音で、私は全てを思い出す。
そうだ。
ここ、牢屋だった。
森から連れ出されて幾月か。
これが日常になったってのに……。
未だにこの部屋は、どうしても私は慣れない。
最初のコメントを投稿しよう!