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「魔女、トイレが欲しいんだ……」
ある日のこと。
急に少年がそんなことを言い出した。
「飯中だ、少年。下品な話題は慎むように」
現在進行形で朝食中。
少年は早起きなのでとっくに済ませてあるだろうが、私はさっき起きたところだ。
軽く眉間にしわを寄せながらカリカリのトーストを口に運ぶ。
寝ぼけて焦がしてしまっているが、またこれはこれでオツということで。
「だいたい、そんなもんいらないだろう。森に行って好きなだけしてこいよ。栄養は循環してしかるべきだ」
そもそも、魔女の私にそんな機能がないゆえに、よく必要性が伝わらない。
「敵に襲われる可能性が怖いとかか? 確かに無防備だとは思うが、それならそういう防具を行商に頼んでみるけど」
「そういう問題じゃないんだよ。ヒトとしての尊厳の問題だって……」
私の物言いに少年は頭を抱える。
え、私、何かおかしいのか……?
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