第6章~西国に覇を唱えし者共~

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月山富田城は、前面を流れる飯梨川が外郭の防御線をなし、内域の周囲は険阻な断崖が守る複郭式の山城で、城内へ通じる道は僅かに三条である。 正面の御子守口、北方の塩谷口、南方の菅谷口である。 いずれも狭隘で、強行突破は不可能に近く、天険の要害である。 力攻めは犠牲者が甚大となり、長期戦を覚悟しなければならない。 だが…。 隆景には長期戦をする気は更々なく、損害覚悟の力攻めするつもりでいた。 そのため陣わりを決めず、一先ず本陣に全軍を集め、力攻めを行う事を将たちに伝え、その上で陣わりを決めてから、三条の攻め口に布陣をさせるつもりでいた。 そのため一先ず、戦評定を開く事にし、陣大将となる福原貞俊、宍戸隆家、天野隆重、阿曽沼広秀たち陣大将となる者を、本陣に集めた。 暫くして陣大将となる将たちが、本陣に集まり戦評定が開かれ、戦評定の冒頭、隆景が月山富田城を力攻めする事を、陣大将たちに伝えようとした時である。 慌ただしく本陣に、月山富田城の様子を探っていた、物見が駆け込んで来た。
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