第37章~最大の敵は・其の五~

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この勝久の問いかけに恵瓊は、盛信の方をチラリと見てから、言いにくそうに口を開き。 『それが…。その条件というのが大垣・墨俣・竹ケ鼻の三城を渡せと申しまして。三城を渡せば和睦に応じるそう申しております』 そう恵瓊は和睦交渉の報告をした。 これを聞き盛信が口を開き。 『我が勢力下にある城を渡せと…』 そう込み上げる怒りを抑えながら、盛信は言い、そんな盛信を見て勝久が口を聞き。 『そんな条件など呑め…』 そう言おうするのを、直家が制止、勝久の耳元で。 『それ以上。申されてはなりません。上様は家康に試されおります。今申され様とした事を口にしては後々面倒となります。ここは盛信殿には申し訳ないですが。家康が出した条件を呑むべきです』 そう勝久に言い聞かせる。 これに勝久は直家を睨み付け、そして暫く考えを巡らした後、口を開いた。 『わかった。盛信には悪いがその条件で和睦をいたそう』 そう勝久が言うと、盛信が勝久を睨んだ。 盛信としては当然、勝久が家康の出した条件を断る、そう思っていたのだが、勝久が家康の出した条件を受け入れた、この事に盛信は憤りを感じたからである。
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