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自分を睨む盛信の視線を感じながら、更に勝久は続けて言う。
『今はな。何れ大垣・墨俣・竹ケ鼻の三城は盛信がために取り返してやる。その事を家康に伝えて参れ』
そう勝久が言うと、これを聞き山中鹿之介が、口を聞き。
『それはなりませんッ。話しが拗れるかもしれぬ余計な話しッ。恵瓊殿ッ。家康へは出した条件を上様が呑んだ事だけを伝えればよいですぞッ』
そう鹿之介が慌てた態度で言うが、そんな鹿之介の言葉を聞き勝久が。
『かまわんッ。そのまま伝えて参れッ』
と、語気を荒くして言うが、そんな勝久を諫止する様に鹿之介が。
『上様なりませんッ。話し合いが拗れまするッ』
そう言って勝久に思い止まらせるが、勝久はプイッとそっぽを向いてしまう。
そんな中、黒田官兵衛が口を聞き。
『よろしいではありませぬか鹿之介殿。家康が出した条件は呑むのですから。和睦というものは元々。現在行っている戦を止めるための話し合い。後々に再び同じ組み合わせで戦する事も御座います。上様が申したのはその時の挑戦状の様なもの。気にする程のものではないでしょう』
そう官兵衛は言った。
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