第6章~西国に覇を唱えし者共~

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勝久の緊張は、傍らに控える鹿之介に伝わり、緊張する勝久へ鹿之介は。 『緊張するのは良き事。緊張し過ぎは良くなき事。御屋形様ご安心下され。我らには神の如き存在である剛志殿か付いて居られる。この戦は必ず我らが勝利で終わります』 と勝久を励ます。 すると…。 勝久は震える手を押さえながら。 『そうじゃのう。我らには神の如き存在である剛志が付いて居ったのう』 と自分に言い聞かせる様にこたえていた。 一方の毛利方の本陣…。 吉川経信は、落ち着き払った表情で、戦場を眺めていた。 勝久とは違い緊張する様子もなく、冷静沈着な表情は、やはり常勝の父元春の血が成せる業であろうか…。 とにかく平然とした表情のまま、先陣部隊に前進の合図となる陣鐘を鳴らさせ、突撃の下知を下していた。 前進の陣鐘が戦場に鳴り響き、経信の下知で内藤隆春1200と、仁保元豊900、飯田弥五郎900、毛利方の先陣部隊3000の将兵が、鬨の声を張り上げ、勇んで前進して尼子方へと突撃していった。
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