遠きｶﾅﾀより導かれて～龍神編～

第6章～西国に覇を唱えし者共～

『申し上げますｯ!!月山富田城より尼子軍が出陣して参りましたｯ!!その数およそ1000程ｯ!!』

『何ｯ!!出陣して来ただとｯ!!』
物見の者の報告を聞き、隆景は驚いて、思わず声を発していた。

更に別の物見の者が本陣へ駆け込み報告する。
『申し上げますｯ!!尼子軍1000は外郭の防御線を成す飯梨川を渡河して参り広瀬の辺りに布陣ｯ!!尼子軍の陣容は鉄砲衆と弓衆の模様ｯ!!』

この物見の者の報告に宍戸隆家が進言する。
『隆景殿ｯ。月山富田城には確か2000程が籠城していた筈ｯ。尼子方の狙いが何であるか知れぬがｯ。籠城兵の内の半数程が出て来たこれは巧くすれば月山富田城を短期間に攻略できるかもしれぬｯ。この好機を逃す必要はありますまいｯ。すぐに撃退いたしましょうぞｯ。某を先鋒を申し渡して下されば必ずやこの好機をいかして見せましょうぞｯ』
と隆家は、尼子軍の撃退を進言し、自らが先鋒を務める事を、申し出たのである。

この隆家の申し出に隆景は。
『確かに隆家殿の申す通りかもしれぬ。うむ…。隆家殿を先鋒に第2陣を隆重殿と広秀殿。第3陣を貞俊殿。第4陣を我が本隊が担い全軍で城より出て来た尼子軍を撃退いたす』
と下知した。