第6章~西国に覇を唱えし者共~

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『剛志殿頼みましたぞ』 元通は、そう毛利軍へ上手く馬を操り、単騎で挑みかかる剛志の後ろ姿へ声をかけ、そして自らが率いる鉄砲衆と弓衆に下知する。 『鉄砲衆と弓衆の者共ッ!剛志殿の援護射撃の用意をいたせッ!』 そう元通が下知すると、元通が率いる鉄砲衆と弓衆が、剛志に当たらぬ様に、迫る毛利軍に狙いを定める。 そして…。 『鉄砲衆放てッ!!』 元通の下知で鉄砲衆が、剛志に当たらぬ様に、鉄砲が轟音とともに放たれた。 更に…。 『弓衆射かけよッ!!』 元通の下知に弓衆が矢を射かけて、弧をえがき矢が放たれた。 尼子軍が放った鉄砲と矢は威嚇射撃である。 これに動じる毛利軍ではない。 先鋒隊を率いる宍戸隆家は。 『なんのッ!あの様な威嚇に動じるかッ!』 と吐き捨て更に。 『しかし何じゃ。あの単騎で出て来た者は。源平合戦の頃でもあるまい。一騎討ちでもしようというのか?』 と尼子軍より単騎で出て来た剛志の行動に、隆家は怪訝な表情を浮かべ、暫く剛志の動きに注視していた。 隆家だけではない、隆家が配下の将兵たちも、剛志の動きを注視する。
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