第6章~西国に覇を唱えし者共~

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毛利軍に取っては2度目…。 隆景と、隆景に率いられた将兵たちに取っては、初めて目の当たりにする光景…。 『…なんという事か。これが龍神の化身の力か…。これでは…』 声を震わせ隆景は言い、愕然とした表情で目の前に広がる、信じがたい光景をただ茫然と見詰めていた。 隆景と同様に隆景の宿老の梨羽宣平、椋梨弘平、老将の福原貞俊、与力衆の天野隆重と阿曽沼広秀たち、その配下の将兵たちは。 『信じがたい…』 『夢ではないか…』 そう口々に震える声を発して、目の前に広がる光景を、愕然と見詰めていた。 毛利軍の将兵たちに取って、信じがたい、恐ろしい力を持つ龍神の化身である剛志…。 その剛志は、宍戸隆家と宍戸隊の将兵を、もの言わぬ遺骸にしてしまうと、更に次なる獲物を求めて、ゆっくり馬を進め出す。 恐怖感が毛利軍の将兵たちを支配し、その中の1人、2人と恐ろしくなり、逃げ出し始め、これが引きがねとなり毛利軍は大混乱、隆景、そして各隊の陣大将たちが必死になり、混乱を収拾しようとするが、それに耳をかす者など、その場に存在していなかった。
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