第6章~西国に覇を唱えし者共~

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剛志は自らの目の前に転がる福原貞俊、天野隆重、阿曽沼広秀たちの骸、そして後方に転がる宍戸隆家たちの骸、これらを眺めながら。 (何時まで俺はこんな事を続ければいいのか…?) そんな事を思い、悲しげな表情を浮かべ、更に剛志は。 (引き受けた事であるから経久さんがもうよいといわなければ。このような事を続けなければならない…。やるしかない) そう決意をして剛志は、自らが倒した名だたる将たち、その骸を顧みる事なく、月山富田城へ帰城して行った。 月山富田城に帰城した剛志は、尼子の将兵に歓喜の声で迎えられるが、表情を崩す事なく、毅然とした態度で月山富田城の守将で、勝久の弟氏久に毛利軍の撃退を伝え、氏久より労をねぎらいの言葉に。 『俺は尼子家の守護神です。ここで尼子家の本拠である出雲と月山富田城を奪わせぬ事。これが俺が成すべき事です。それをしただけの事です』 と毅然とした態度で言い、氏久に一礼して、氏久の前より下がっていった。
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