第6章~西国に覇を唱えし者共~

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守将氏久の前から下がった剛志は、なんとなく洞光寺に足が向き、そして気が付けば、尼子経久の墓所の前に立っていた。 何時もの様に剛志は手を合わせる。 すると…。 『剛志よ。辛い思いをさせてすまぬ。今はまだ再興したばかりの尼子家である故に吹けば崩れ瓦解し易い。もう暫くはお主が力が必要じゃ。お主には辛い役目を負わせてすまぬが…。今暫くお主が力を貸してくれ』 そう経久は、剛志の心情を知りつくしているかの如く、何時もとは違い剛志が、問いかける前に、剛志の頭の中に嗄れているが、野太い声を響かせる。 これに剛志は。 『気にしないで下さい。俺は今日の毛利軍との戦いで覚悟を決めました。これが俺の定められし運命であると思い尼子家が守護神として働き続ける。そう覚悟しましたので』 そう経久へと伝えた。 これに経久は。 『すまぬ。儂には自らが尼子家に力添えする事が叶わぬ。それ故に剛志。お主に龍神の化身たる力を与えた上で間接的に尼子家に力添えするしかできぬ。お主には辛い思いをまださせる事になるが暫し頼む』 そう剛志に告げると、剛志は力強く頷いていた。
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