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『周りは毛利軍で一杯よな…。羽柴殿の援軍が来てくれたようじゃが…。高倉山にあるのみ…』
そう不安な顔で櫓に登り、上月城の周囲を見渡すのは、鹿之介の叔父立原源太兵衛久綱である。
その横には頭に白髪が目立ち、顔にも皺が目立つ老将の神西三郎左衛門元通の姿があり、元通も不安が顔に覗いている。
その尼子古参の将に挟まれて鹿之介の姿がある。
その鹿之介が口を開く。
『羽柴殿が先陣をきっての来援であろう。後から織田勢の援軍が来てくれるはずじゃ』
そう鹿之介は希望的観測を口にした。
流石に鹿之介にも不安が過っていた。
播磨三木城の別所長治が信長に背き挙兵…。
勝久を旗頭に尼子再興を目指す鹿之介らにとって迷惑な話である。
『これからという時に…』
その思いが鹿之介たちの心の内ある。
別所長治にも考えがあっての行動であろうが…。
鹿之介たちには迷惑千万な事であった…。
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