仲間の裏切り、二人の距離

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土方の言葉に幹部たちは目を見開いて驚く 皆信じられないといった表情で土方を見つめるが、土方は目を瞑ったまま動かない 「土方さん、何でこんな時までそんな下らない嘘吐くんだよ!! 俺たちの仲間の中に裏切るクソ野郎なんて居るわけないだろ!? そうだよな、左之、平助!」 「「・・・・・・・・・」」 永倉は悲痛な叫びを漏らし、原田と藤堂に答えを求めるが二人は何も答えない 「なんで何も答えないんだよ・・・! なぁ、斎藤! 源さん、山南さん!! あんたたちは思ってんだろ!? 俺たちの中には裏切り者はいないって! そうだろ!? なぁ!!」 「認めろ!! 新八!!」 永倉は残りの三人にも同意を求めるが、三人とも黙ったままだ。 そんな中、あがき続ける永倉を原田が一喝した 「情報が漏れてて、桜が大怪我してんだぞ!? 認めるほか・・・ねぇじゃねぇかよ!!」 「けど・・・けどよ!!」 永倉はさらに言葉を続けようとするが、言葉が詰まって出てこない 先ほどまで黙っていた斎藤は、淡々と永倉に告げる 「実際に水無月は瀕死の状態になりかけた。 それに相手はこちらの裏側の情報も得ている。 作り話にしては出来すぎているだろう・・・。 情報が漏れてさえいなければ、水無月は深手を負わないですんだ。 仲間だからといって、誰も裏切らないわけがない。・・・・・・それが組織というものだ」 「・・・・・・っ! 俺・・・部屋に戻るよ」 永倉は顔を伏せ、広間を出て行く その背中は、こころなしかいつもより小さく感じた 原田は大きくため息を吐くと、小さく呟いた 「あいつは優しいからな・・・。 土方さん、俺も部屋に戻るよ」
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