仲間の裏切り、二人の距離

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そして、藤堂はぱたぱたと走って原田の後を追いかけた 広間に重たい沈黙が流れる 今まで黙っていた山南は、ポツリと呟いた 「藤堂君はまだまだ子供ですね。 土方君・・・この件、そんなに簡単にかたづくと思ってるんですか?」 「んなわけねぇだろ・・・。 裏切り者は許さねぇ。 洗いざらい吐かせた後に局中法度に従って、士道不覚悟で切腹だな」 「・・・? 副長、『局中法度』とは・・・?」 斎藤は、土方の口から出た言葉。 『局中法度』について訊ねた 「ん? ああ、お前らにはまだ話してなかったか。 ずっと前から決めてたんだけどな、これから新撰組は きっと隊士が増えるからな。 烏合の衆を全員言うこと聞かせるなら、血の掟を定めなきゃなんねぇ。 それで俺が作ったのが、局中法度だ」 「そして、その法度を破ったものは切腹・・・と?」 「ああ。 幹部だろうが平隊士だろうが関係ねぇ。そこら辺はお前も、山南さんや源さんも覚えておいてくれ」 「・・・御意」 広間にはさらに重い沈黙が流れる。 しばらくたった後、広間にいたものは各々の部屋に戻った * * * * * * * * * * * * 「ご迷惑をおかけしました・・・」 桜は包帯が巻いてある腕をさすりながら、山崎に言う 山崎は無愛想に返事をした 「いえ・・・。これも俺の仕事なので。 それでは、失礼します」 山崎が出て行くと、部屋は桜と沖田だけになった 月明かりが桜の横顔を照らし出す その姿はとても儚く感じた 不意に桜が口を開いた 「ねぇ・・・沖田さん」 「ん? なに?」 桜はうつむいたまま、話し出す 「土方さんから聞いたんですけど・・・その・・・」
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