始まり

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「はぁっ!せいっ!」 「やぁっ!」 文久2年三月。うららかな多摩の空気にそぐわない、気合のこもった声が聞こえる。 声の出所は・・・。 『試衛館』 天然理心流の道場である。 そして、またその空気にそぐわぬ美しき女子が一人。 試衛館へと足を運んでいた。 腰まである美しい黒髪、黒曜石より遥かな深さを持つ漆黒のつぶらな瞳。 形の良い唇、美しくもけして派手ではない着物。 まるで、西洋の硝子細工のような儚さと美しさを持っている。
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