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「うわああああっ!!」
少女の突然な悲鳴が、またしても机に向かう俺の邪魔をする
俺が彼女の方を振り向くと、ベッドの上に座った彼女は、あたふたと周りを見回している
「やかましい、静かにしとけ」
「えっ……あ、すみません」
あまり強く言ったつもりはなかったが、少女はしゅんとして大人しくなった
よく見ると、小さな口はキュッと結ばれ、口角は下がっている
猫のように丸い瞳は、うるうると涙を湛えていて、つまり今にも泣きだしそうだった
俺が立ち上がると、彼女はひくっと身体を強ばらせる
俺はそのままゆっくりと台所の方へ歩いていき、背を向けたまま彼女に話し掛ける
「ココアかミルクティー」
「ふぇ?」
「ココアかミルクティーだ。抹茶ラテは生憎切らしている」
「あぁっ、はい、じゃあココアください」
確かヤカンにまだ暖かい牛乳が残っていた
俺は食器棚からマグカップを一つ取り出し、缶からココアを少し入れて、ココアを拵えた
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