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その後しばらく、少女は部屋の中を動き回っていた
俺はそれを放っておいたのだが、その理由は、彼女がなぜこの部屋にいるのか、に関係していた
この学園内に今いる人は、俺とフラン、生物講師のブロモと、その女性助手のイオだけだった
とはいえ、あまりに小さい学園で、講師はその四人だけなのだが……
とにもかくにも、その四人しかいなかったため、彼女を休ませておける空き部屋は、その四人がそれぞれ持つ講義室と準備室だけであった
まあ、講義室で休める訳もなかろうということで、準備室に置いておこうということになった
しかし、フランの準備室には危険な薬品が山の様にあり、ブロモの部屋には蛇やら蛙やらがやたらと生息している
頼りのイオは、体調を崩しているため、必然的に俺の準備室に運び込まれた
つまり、俺の部屋が一番快適だったのだ
しばらくの後、彼女は俺の後ろにやってきて、俺の手元をちらちら見ているようだった
「なんだよ」
「あっ、いえ、何してるのかなって思って」
彼女は、少しワタワタして答えた
「何って、数学だよ」
「えっ、数学ですか?」
彼女は丸い目をさらに丸くして驚きを表す
「あぁ、なんか変か?」
「いや、その、楽しそうですね」
「まぁな、これほど楽しいものも珍しい」
俺はもう冷めてきてしまったココアを飲み干しながら答えた
彼女は、なんとも不思議そうな表情をしている
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