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「ステーキ、沢山焼き過ぎちゃいまして」
鮭缶を開けた瞬間に、お隣の部屋の坂野さんが訪ねて来た。
今日も訪ねて来た。
「あの、良かったら、どうぞ」
坂野さんはとんでもなく美人だ。
そんな彼女が毎日毎日作り過ぎた料理を片手に壁に耳を押し当て、缶詰を開ける音を確認するため必死に聞き耳を立てているなんて。
「それじゃあ、また明日」
決して進展する事はないであろう異様な関係。
壁の向こうの坂野さんを想像しながら缶詰を開けて妙に興奮している僕は、きっと変態なんだと思う。
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