神でも人でもないならば

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「雛岸さんの事を、俺はまだ聞いてません。教えてくれませんか」 沈黙。その場にいた全員が姫神の問いに対して答えようとはしなかった。それもそうだ。死んだ仲間の話を進んでしようとは誰も思わないだろう。しかし、姫神にはしてもらわなければならない理由があった。 「4隊の奴らは……俺を隊長と認めないと……雛岸さんはまだ生きてると……そう言っていた。俺はその雛岸前隊長の事を知らない。でも奴らの反応を見るに相当慕われてたというのは分かるんだ」 姫神は深く頭を下げた 「お願いします。死んでいった人の話なんてしたくないと思いますけど……どうか、教えてください。雛岸さんがどんな人物で、どんな事してて、どんな風に死んでしまったのかを」 沈黙。姫神にはその沈黙が10分、20分、ひたすら長い時間に思えた。 重たい雰囲気に終止符を打ったのはソーマだった。 「雛岸はよ。元は俺ら第1部隊の班長だったんだ。偏屈な計画つぶしたり、ある一人のバカを連れ戻したり。それこそ、この極東1優秀でできる奴だったさ」 「遊撃隊の第4部隊の創設が決まった時、奴が率先して部隊長に立候補したんだ。自分じゃなくてソーマに部隊長やってほしいって言ってな」 ツバキが教えてくれた。コウタは少し、何かを思い出しているようで、空気の一点を見つめている。 「4隊が稼働してから作戦の遂行はスムーズになった。もともと雛岸の指揮能力はフェンリル1と言ってもよかったからな。あの3人も雛岸には従っていたんだ」 ツバキがさらに続けるとそこで一度言葉を切った。
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