神でも人でもないならば

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「雛岸が死んだその時。4隊は居住区防衛にあたっていた。防衛班との共同任務だった。あの時、大量のアラガミが居住区域に侵攻しようとしていたんだ。それを阻止するため、2,3,4隊が防衛に派遣された。住民の避難も終わり、殲滅も完了あとは退却というところまで来たときに事件が起きたんだ大型のアラガミ反応が居住区の付近であったんだ。第2,3部隊は消耗も激しく、4隊だけで討伐すると雛岸がいったんだ」 ツバキは淡々と語る。 「あの時……俺らもいってりゃ良かったんだ。そうしたら、あいつは死なずに済んだ。俺らはどこかで、あいつに頼りすぎていたんだ」 そう呟いたのはタツミだった。防衛班班長としての情けなさ、悔い、罪悪感。タツミが責任を感じているのは誰の目にも明らかだった。 「タツミ。気にすることはない。終わったことだ。 そして、居住区近くの廃屋へ、そこで4隊は壊滅寸前までに追い込まれる。大型のアラガミが4体。廃屋を取り囲んで孤立させたんだ。1部隊も任務中、2,3部隊は帰投中。4部隊への支援は恐ろしく遅れた。結局、あの3人は雛岸の機転で脱出できたようだが、雛岸は退却のしんがりを務め、そのまま行方知れず。本部は死亡とみなした」 「…………」 今の話を聞く限り、三人が置いていた信頼は大きい。そんな出来事があったにもかかわらずあんなことを言ってしまった姫神は後味の悪さと後悔に包まれていた。 「以上が、雛岸大佐の最後だ。今から半年ほど前だな。雛岸がいなくなってからというもの、あの三人組は前にも増してやりたい放題。私たちも手を焼いているのだ」 再びの、沈黙。お葬式ムードもいいところ。雰囲気は最悪だった。
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