神でも人でもないならば

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全員の挨拶も終わり再び沈黙が流れる。誰一人として喋り出そうとする者はいない。終始睨みつづけているジンも、決して姫神と目を合わせようとしないエリナも、姫神事態に興味無しと言った感じのマリーもだ。どうやら彼女は風船ガムを膨らますのに忙しいようだ。そして、その長い、永遠に続くかに思われた沈黙を破ったのはやはり姫神だった。 「どうやら歓迎、って感じじゃないみたいだな。なるほど確かに、性格に難ありどころじゃないぜ支部長」 そう言っても一つも反応を変えない三人。そして三人の顔を見回すと一度ため息をついてから 「まあ、良い。俺がこの部隊の隊長になったからには否が応でも俺の指示に従ってもらう。命令違反とかしたバカは……上官に言いつけるからな」 と、挑発的な態度をとる。姫神は三人が『隊長』というワードに反応したのを見逃さなかった。そして畳み掛けるようにさらに言葉を重ねていく 「前任の部隊長が死んだらしいが……その分まで頑張ろうとするのが筋だろ。前見てしっかり生きなきゃ、死んだ元部隊長に申し訳無いとは思わないのか」 刹那 ジンの拳が姫神の顔へと伸びる。しかし、姫神は伸びてきた拳を軽々受け止めると、腕を掴んでそのまま一本背負いをくらわせた。叩きつけられたジンは苦痛に一瞬顔を歪める。 投げ飛ばした直後、叩きつけたのとほぼ同時に今度はマリーの肘が首を捉えようとする。姫神は体の向きを変えないまま脚を後ろへと曲げて上手くマリーの脚を引っ掛けバランスを崩した後に、体の向きをマリーの方へと向き直しもう片方の足を綺麗に払って倒した。 たった一瞬。まばたきでもしようものなら、目を開けた時にはすべてが終わっているような、そんな一瞬。その間にこの攻防が繰り広げられるあたりが能力の高さと言えるのかもしれない。 しかし、 予想外なことが一つ。もう一人は何もしないで黙ってみているかと姫神は最初思っていた。だが違った。 それはだいぶ昔の、簡単に人を殺めることのできる恐ろしき物。拳銃だ。 エリナは後ろから拳銃を姫神の背中へとあてがう。
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