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「隊長は……雛岸隊長は……死んでなんかいません……まだ生きてます」
エリナはそういう。声はかすかに震えている。
「勝手に余所からきて勝手に変なこと言わないでください。部隊長は生きてます。部隊長は二人もいりません!あなたは必要ないんですよ!」
一層大きな声を上げる。二階エントランスにいる人間は皆こっちを向く。しかし何をするわけでもない、皆見て見ぬふりをするのだ。だが、それは当然とも言える。自らゴタゴタに巻き込まれたいと思う人間は少ない。まして問題児集団の第4部隊ともなれば尚更だ。
「エリナの言うとおりです。あなたは隊長じゃない。あたし達は従わない!」
足を払われその場に倒れていたマリーも続く。姫神は何も言わない。何も動かない。
「お前なんかぜってぇみとめねぇ……俺はお前の言うことなんかぜってぇ聞かねえからな」
と、いの一番殴ってかかったジンも同じ様なことをいう。そして姫神はため息をつくと両手を上に上げた。
「そうか。まあいいさ。お前らの本心が聞けて良かった。あのまま黙りこくってちゃ埒が明かないからな」
本心を聞き出すための挑発。単純な三人はまんまと引っ掛かってしまったというわけだ。
そして、階段の方へと向かっていく。背を向けながら三人へ声をかける
「お前らが俺の言うことを聞こうが聞くまいが勝手だが、出撃指示には従ってもらおう。それを無視したら、ほんとに怒られかねないから気をつけろよ」
そして歩きだし。階段の一歩手前まで来ると何かを思い出したように止まり
「それから、良いパンチだった。けどまぁ、頭に血が上りすぎたな。もっと早さを磨かなきゃケンカは強くなれない。まあ、このご時世、殴り合いでケンカする奴なんてきっといないだろうけどな」
とそれだけ言い残して階段を下りて行った
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