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「銀さん、時間は巻き戻らない。僕らは前へ向かって進むしかないんだよ」
「いや、まだ間に合うかもしれん!その眼鏡を壊しちまえば、真面目な翔さんが戻るかもしれん!協力しろ、一瀬!あの伊達眼鏡を破壊する!」
「ふっ、できるものならやってみるといい。この眼鏡は未来をも見通す。君の動きは手に取るようにわかるのさ!」
「御託はいらん!その眼鏡をよこせ!」
「ははははは!嫌だねー!これは僕と玲さんの思い出の品なのだからー!」
生徒会室で突然バトルを始めた二人を、俺は溜息を吐きながら見守った。
ほんの少しのきっかけで、俺達高校生は180度違う生き方をすることだってできる。
180度とまではいかなくても、俺も玲さんや翔さんのおかげで何かを変えることができた一人だ。
彼がこうなってくれて良かったんじゃないかと、メタリックブルーのカッコイイ眼鏡をかけて不敵にほほ笑む先輩を見ながら、俺は密かに思っていた。
fin.
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