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大今昔物語
今は昔の大昔、あるところに、おじいさんとおばあさんが居そうですが、まだ地球にはバクテリアや細菌類しか誕生していませんので、おじいさんもおばあさんも居ませんでした。
バクテリアの家族は、火山活動が活発な中を必死に生き抜いていました。
「お父さん、お腹すいたよー。」
子供バクテリアがお腹を空かして言う。
「息子よ。どうやら、我々はもう終わりなのかもしれない。」
すべてを諦めかけた父バクテリア。
それを聞いて悲しそうな顔をする子供バクテリア。バクテリアには耳も口も顔もないのだけれど。
「諦めてはいかんよ。我々が限界を乗り越えて生きていくことは必ず未来につながる架け橋となるのじゃよ。」
婆バクテリアが説教をする。
バクテリアに性別などないので、息子とか父とか婆とか分ける必要はないけれど、わかりやすく分けているだけである。
火山近くに生息しているせいか、次々と仲間が干からびていく。
まさに絶望しかないこの状況をどうやって切り抜けるのか。
「なら、この絶体絶命の状況をどう打開すると言うんだ!このクソババア!」
キレる父バクテリア。
喧嘩はやめて!と仲介に入る母バクテリア。
そんなことをしているうちに、氷河期が訪れバクテリア家族を含む地球上の全てのものが凍りついてしまったのでした。
完
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