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俺は少しの間、頭を捻って考えてみるが何も答えは出ない。一人で悩んでいたところでなんの解決にもならない、という極論に辿り着いた。
どうして俺がこんなところにいるのか、それが重要だ。
右手で頬を掴んでみたが、普通に痛みを感じるし、こんなにリアルな夢はないだろう。
何故この様な状態に陥ったのだろうか。昨日は、夜遅くまで病弱気味な弟とゲームで遊んでいて、眠気が指したから、ベッドまで歩いて、そのまま寝た筈だ。
『詳細は右のボタンを……』
唯一、解決の糸口になりそうなものは、この無機質な声が指定するボタンのみ。
俺は生唾を飲み、機械の誘導に従い“それ”を押そうとしたが――なんだろう、妙に騒がしい。
「なっ!?」
俺が機械にむけて伸ばした手は何も触れることが出来なかった。
突如、背から衝撃を受けて視界が歪む。
あの地鳴りにもよく似た轟音は、機械が鳴らしていたものではなかったらしい。
俺の身体は押し寄せた荒波にイトも簡単に持っていかれた。
俺はそのまま意識を手放してしまった。
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