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「は、屋上にまた不良の山積みだぁ?」 室内に響く怒鳴り声。 机に向かって仕事をしていた生徒が、驚きに肩を震わせた。 声の発生源は彼らの長、風紀委員長の水無月 朔弥である。 「どーせまた園竜寺に喧嘩売った馬鹿共だろうが。ほっとけ、んなもん」 呆れの色を含ませ、朔弥は手にしている携帯に告げる。 内容は、屋上での乱闘後の処理について。 山積みにされていたらしい男達の名前を聞いたのは、朔弥は三度目だった。 そしてどれも園竜寺 流関係。 喧嘩を売って、ボロ負けをしたというなんとも自業自得な内容だった。 「しっかし、園竜寺も大変っすねぇ。毎度毎度、知りもしない相手に喧嘩売られて」 「いい噂は聞かないが、園竜寺単体での事件は無い。それが答えだろ」 不良は厄介な人間達の集団として認識している朔弥だが、流に関しては別だった。 勘違いしている者もいるが、流自身は事件を起こしてはいないのだ。 大半が、売られた喧嘩を買ったにすぎない。 そのことに関して、朔弥は流が不憫だと思わずにはいられなかった。 「でも、園竜寺くん教室に来ないんですよね」 「普通行きづらいだろうが。好きで来ないわけじゃ無いんじゃねーの?早乙女、同じクラスなら少しはフォローしてやれ」 「う、でも会話が続かないんですよ。園竜寺くん睨んでくるし」 早乙女と呼ばれた青年、早乙女 悠が背中を丸める。 情けないように見えるかもしれないが、彼は普通の不良相手なら問題ない。 なぜ流に対しては弱気なのか。原因は二人の出会いにあった。
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