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―怪しい。
なにもかもが怪しすぎる。
あんなに外見は汚かったのに、中身はここまでピカピカなんて、あり得ない。
そう呟くと、冬真は真顔になってわたしに向き直った。
「おやおや。失礼なお嬢さんですね。また外に放り出してあげましょうか」
「え!?あ、ごめん。外に出すのだけはやめてよ。お願いだから」
「…冗談ですよ。本気にしました?」
真剣な顔で冗談を言われると心臓に悪い…。
彼はまた笑顔に戻った。どうも胡散臭く感じられてくる。
わたしをからかうのはやめて、この洋館のことを早く説明してほしいな…。
冬真に、居間の中央付近にあったソファへと案内された。
ちょっと古そうな、でも高そうなソファに座るとなぜだか力が抜ける。
冬真が笑顔のままで、これまた高そうなティーセットを取り出した。
「アールグレイがいいですか?それともダージリン?」
「ちょっと待ってよ。この洋館の特別仕様…だっけ?説明してくれるんじゃないの?」
彼は、一瞬きょとんとした顔をして、次の瞬間に爆笑した。
「ええ!?何?なにがおかしいの?」
「あはははははっ。す、すみません。ふふっ。じゃあ、紅茶はいらないんですね?お疲れだろうと思いまして、飲みながらお話ししようと思ったのですが」
「タダでもらえるんだったら、飲みたいけど…?」
それを聞いた彼はさらに笑い出した。
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