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「アァァァァァァァァァ――」
神の魂すら切り離すその呪文に、破壊の神は身動きが出来ず、ただ禍々しい雄たけびをあげる。
「その物語において、主神とは横暴なものだった。悪戯に宝を奪い、人を無理に従わせ、そしてこの呪によって乗っ取られた。その精神ごと」
――そしてお前もな。と言わんばかりに彩斗は破壊の神を見据える。
「小僧ぉおおおおおおっ!!」
叫びをあげる破壊の神に向けて、彩斗はその呪文の名前を口にする。
「――輪魂の呪」
破壊の神の体から、赤黒い物質が抜き出されて宙に舞う。
魂が抜き出された巨大な肉体は、轟音を立てながらなす術もなくその場に崩れ落ちる。
そして赤黒い物質は、彩斗の前に浮遊し、彼の魂と一つになる。
呆気なさを感じながらも彼は自身の仇討が済んだことを密かに喜ぶ。
そして魂を繋ぎ終え、神の魂を乗っ取った彼はやっと安堵の息を吐いた。
しかし、彼は想定すらしていなかった。
かの者は肉体的に――にも、精神的に――にも、そしてその魂からして破壊神であるということに。
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