0week

2/9
前へ
/9ページ
次へ
 ――まっさらだった。  そこには何もなく、ただ無地の世界が永遠と眼下に続く。  まるでミルクパズルの中に飛び込んだような風景に、神名彩斗は唖然としていた。  どうしてここにいるのだろうか自分に問うも、どうも記憶が曖昧で、気が付けばこの場所にいた――というのが彼の現状だ。 (何かがおかしい)  彼はそう思った。  この現状も十分におかしいのだが、それ以外にも決定的な何かがおかしい。  違和感を感じた彩斗はふと足元を見てみると、その違和感の正体に気付く。 (影が――ない?)  彼は360℃回転すると額に汗を浮かべる。  仮にこの空間が真黒な場所であったなら、影が出来ないのも頷ける。  光源が遮断されているのなら、影がそこにできるわけもない。  しかし、彼がいるのは真白な世界。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加