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――まっさらだった。
そこには何もなく、ただ無地の世界が永遠と眼下に続く。
まるでミルクパズルの中に飛び込んだような風景に、神名彩斗は唖然としていた。
どうしてここにいるのだろうか自分に問うも、どうも記憶が曖昧で、気が付けばこの場所にいた――というのが彼の現状だ。
(何かがおかしい)
彼はそう思った。
この現状も十分におかしいのだが、それ以外にも決定的な何かがおかしい。
違和感を感じた彩斗はふと足元を見てみると、その違和感の正体に気付く。
(影が――ない?)
彼は360℃回転すると額に汗を浮かべる。
仮にこの空間が真黒な場所であったなら、影が出来ないのも頷ける。
光源が遮断されているのなら、影がそこにできるわけもない。
しかし、彼がいるのは真白な世界。
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