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《影踏み開始》
『じゃ!始めるよ…鬼は優ね』
屈託なく笑う。
『えっ…私が鬼?』
『最初じゃなくても、直ぐに捕まるから同じだよ』
どんな理由よ……
逆らっても無駄。
長く友達してるからそれは良くわかっている。
『じゃ10数えるから、逃げて』
そう言うと、優は大きく息を吸い、数え始めた。
二人は楽しそうに方々に分かれた。
『…10。じゃ行くよ』
優はまず、莉奈を追った。
三人の中では、優が1番足が遅い。ただ、時間帯からなのか、やけに影が延びている。
これは、以外に楽かも優はそう感じた。
しかし、意外に影を踏む事は難しい。
莉奈を追って校舎の裏まで来た。
『……な…なんかここ変……莉奈?』
何とも言えない空気…………
歪んで感じる景色。
別の何かに見られている気配。
一歩足を踏み入れただけで、凄まじい何かを感じる。
空間が違う………
霊感なんてない私ですら、感じる。
何か…………
『戻らなきゃ…』
あの校庭に戻ればきっと二人もいるはず……
私の勘違い………
気のせいかもしれない……
優は一気に駆け出した。
【振り向くな】
一瞬声がした。
一瞬だが、ハッキリとした声。
優はその言葉通りに振り返らず、走り抜けた。
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