影踏み

鬼がくる

～美咲　様

突然の手紙に驚かれたと思います。

私は園田出版の柏木　雪乃です。
私がまだ、駆け出しの記者時代に貴方達の謎の失踪を地方紙に書いた者です。

その後、どうしてますか?
今回、手紙を書いたのは貴方があの事件以来人との接触を拒否してると聞き手紙を書きました。

本題に入ります。
貴方達がやっていた【影踏み】の遊びについて詳しく話を聞きたいのです。
貴方達の謎も今だに未解決です。

そして、また貴方達と同じように忽然と消える子供達はみな
【影踏み】をして遊んでいました。

【影踏み】をして消えた子供達の中で美咲さんだけが助かっていますね。
ｱｶﾘちゃんも伸子ﾁｬﾝもまだどこかで無事かもしれませんが…

貴方はなぜ無傷でたった一人助かったのでしょうか?

それが、わかれば今起きてる
謎の失踪を止められるかもしれません。

辛い記憶でしょうが、
どうか、聞かせて下さい。
また、悲しい犠牲者が出ない様に。

追伸:私にも今、小学生の娘がいます。

手紙はそれで終わっていた。
美咲には語れる事などない。
自分がなぜ助かったかなんて
今だにわからない。

【鬼】から隠れてる
今の状況も正しいのかもわからないのに……　
美咲は手紙を元に戻した。

関わる事ない。
私の事件も警察は事故だと言っている。
もう終わった事なのだから……　

美咲の頭にあの日の二人の声が響く。

【鬼がくる。鬼がくる。】

美咲が聞いた二人の最後の声が今も美咲を苦しめている
助けてたかった？
そう、今は思う。
だけど私は幼すぎた。

今もまだあの日の出来事を理解出来ないでいるのに